ライター業で収入を安定させるには、定期的に執筆を依頼してくれるクライアントを複数持つことが肝心です。それができれば、新規営業へのストレスや、不安定な収入への不安が減少します。
定期的な依頼を実現するためには、クライアントから信頼を勝ち取り「また発注しよう」と思われる必要があります。
今回インタビューさせていただくのは、ライター業を始めて3カ月にもかかわらず、2社から定期的な依頼を受けている川端彩香さん。なぜ、川端さんは短い期間でクライアントから仕事を受けられるようになったのでしょうか。
仕事術から、そのヒントを探してみましょう。
約束を守りたいという意識の強さが案件獲得のつながった
——ライター業を始められて3カ月とのことですが、今はどんな仕事をされていますか?
定期的にいただいている仕事は二つあり、一つはプレスリリースを関西の女性向けメディア用に適宜変更し、ワードプレスに記事をあげる仕事です。添付する画像を加工修正することもあります。
もう一つは、医師やクリニックの紹介記事です。これは先生やクリニックを一般の方向けに紹介するものです。他に、文字の書き起こしや単発の仕事をしています。
——定期的に依頼されている案件は、これまで経験した職種と関連している内容ですか?
特には関連していません。私は前職で法人向けのルート営業をしていました。業界も北欧雑貨やレディースアパレルなので、専門的な知識を使って記事を書いているわけではありません。
ライターとして最初の案件も電話占いのレビューでした。
——それなのに定期的な依頼を獲得されているのですね。なぜ獲得できたと思われますか?
どちらも短納期の要望に対応できたからだと思います。
例えばプレスリリースの依頼では、午前11時ころの依頼で翌日の12時までに納品というケースもあります。この案件に対しては、急な修正依頼がきてもいいように、外出時にパソコンを持ち歩くこともあります。
医師の紹介記事も短納期が可能な人を募集しており「自分ならできる」と思って応募しました。
——タイトなスケジュールを要求されたとき、断ったり、納期を伸ばしてもらったりといった交渉はしないのですか?
私は良くも悪くもウソをつけない性格なので、何か特別な理由がないと、断ることも納期を引き延ばしてもらうことも苦手なんです。
たとえ引き伸ばしてもらっても、間に合わなかったら相手だけでなく、自分もストレスを感じてしまいます。ですから、常にできるだけ早く納品することを考えます。
私自身も約束を破られることに苦痛を感じるタイプなので、どうにか納期に間に合わせたいという感覚が強いです。
——そうなると、自分の書くスピードの把握が大事になりそうですね。どうやって身につけたのですか?
会社員時代に2年間、ライティング講座を受けて身につけました。
ライティング講座を受けたのは、課題でOKがもらえた記事を講座のホームページに載せられるからです。当時は、失恋を機に10kgのダイエットに成功した体験を知らしめたいという動機がありました。
この講座で課題を出し続けることで、2000字や5000字を書くときにかかる執筆時間の感覚がわかるようになりました。
こだわりは余裕を持ったスケジュール管理
——絶対に納期を守るという意識の強さを感じます。具体的にはどうやって実現していますか?
修正があることを見越して、できるだけ早く納品するようにしています。
もともと短いスケジュールの案件でも、できる限り早めに提出することを目指します。なぜなら、トラブルに対応する時間がほしいからです。
提出した記事が「思っていたのと違う」と言われたときにリカバリーする時間を持たせておけば、クライアントの要求する100%に近いものを納期に提出でき、その後の工程もスムーズにいきます。
そのような余裕を持ったスケジュールで作業できれば、クライアントも自分もストレスが残りません。
——ライターを始めた当初から、そのように考えていましたか?
ライターとして活動する前の、ルート営業の経験から思うようになりました。
ルート営業は新規営業と違って、特定のクライアントからの売上を途切れさせないようにする仕事です。クライアントと密に連絡を取り、欲しているものを先回りしてどんどん提案します。
これをライターに置き換えた場合、クライアントが知りたいのは、納期がキチンと守られるかどうかではないでしょうか。そのため、ライターのスケジュールの空き具合を伝えることも大切だと思います。
——クライアントの要望をくみ取ることが大切ということですね。
これは納期だけでなく、何にでも当てはまると思います。クライアントとのテキストコミュニケーションでも、言葉選びや表現の工夫が大切です。相手からもらったテキストに不快感があれば、反面教師にして使わないように心がけます。
誰でも小さい頃から言われている「自分がされたら嫌なことは相手にしない」の延長にある考え方じゃないでしょうか。
スピードを上げるために音楽のリズムを利用する
——納期を守るには作業時間のスピードアップが必要ですが、どんな対策をしていますか?
プレスリリースの記事化や構成作りなど、すでにある資料を改変するような作業の場合、K-POPを聴きながら執筆することでスピードアップできます。
私の場合、ワイヤレスイヤホンで雑音を消す機能を使い、周辺の音を遮断してK-POPを聴きます。すると、目の前のことに集中できるため、作業スピードが上がるのです。
お気に入りのアップテンポな曲を3〜4曲ピックアップし、エンドレスで聴いています。
この方法は前職で大量のメールを返すときや資料を集中して作りたいときに使っていたので、ライターを始めてからも続けています。
——K-POP以外の言語で聴いている音楽はありますか?
曲の歌詞がわかってしまうと頭の中が混乱するのでダメなんです。J-POPはもちろんですが、私の場合、英語の曲もほとんど聴きません。
英語は大学で勉強していたのもあって、無意識に歌詞を翻訳したくなるんです。つい「聴き取れないかな」と曲に意識が集中してしまいます。
その点、K-POPだと言葉がわからないため、音楽だけを聴けます。それにK-POP特有のアップテンポなリズムが、私の感覚と相性が良いようです。
やりたいことをしながらライターを続けたい
——今後はどのようなライティングをされる予定ですか?
ライターをしながら、自分のやりたいことを続けていこうと思っています。
実は数年前から、どうしてもいきたかった海外留学が決まり、来年1月から半年間、デンマークへ渡航する予定です。定期的に依頼をいただいている案件については、滞在先でも続けていこうと思っています。
帰国後は、インタビューを主軸に活動したいと考えています。
——デンマーク留学中も仕事をされるのですか?
定期的に依頼を受けている仕事はだいぶ執筆に慣れてきたので、時間を見つけて作業するつもりです。また、過去に引き受けてきた文字起こしなど単発の案件も、集中すれば半日ほどでできると考えています。
留学先でも作業は可能なので、続けていく予定です。インターネット環境さえあれば、ライターはできますし。
——夢をかなえながらも、ライターを続けられるんですね。
ライターという仕事は、私のやりたいことと同時進行でできる条件がそろっています。書くことは好きで苦になりませんし、どこでもできるのが私にとって大きな魅力です。
将来やりたいことはたくさんあるので、その資金を用意するためにもライターを続けていきたいです。
——クライアントから信頼され依頼を途切れなく獲得しながら、やりたいことを諦めない川端さんのバイタリティの高さに勇気をもらいました!今日はありがとうございました。